石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

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液状化現象

液状化現象とは、地震の際に地下水位の高い砂地盤が振動により液体状になる現象を言い、単に「液状化」とも言われている。

 この現象が起きると、比重の大きい構造物が埋もれ、倒れたり、地中の比重の軽い構造物(下水管等)が浮き上がったりする。

 実際には、地表付近の含水状態の砂質土が、地震の振動により固体から液体の性質を示すことにより、上部の舗装や構造物などが揚圧力を受け、破壊、沈み込みを起こすものである。「流砂」とも呼ばれていた。

 発生しやすい場所は、砂丘地帯や三角州、港湾地域の埋立地などがほとんどであるが、近年の研究では、旧河川跡や池跡や水田跡なども発生しやすい地質であることが分かってきた。近年、都市化で該当地域が多いことで被害拡大の影響が懸念される。

 この現象を防ぐためには、港湾施設においては地盤改良、緩い勾配の堤防、他の建設物においては、地中の排水パイプの設置や、しっかりとした地盤まで基礎を入れる等の方法がある。

 県内での例としては、半年前の3月25日に発生した能登半島地震において、震源域海底で、地層の露出や、液状化現象によって地下の砂が噴出した「泥(どろ)火山」が、海上保安庁の調査で確認されている。
 また、河北潟周辺でも、震度5弱~4を観測し、液状化による家屋被害が8件報道されたほか、県の施設においても、水門横から水と砂が吹き出すなどの被害があった。
 なお、水門については、迅速な応急工事が施工されて被害の拡大をくい止めたこともあり、被災から2ヶ月後に周辺地盤を薬液注入で補強する工法により復旧が完了している。

 ごく最近では、7月16日に発生した新潟県中越沖地震で、河川敷の付近の住宅地で、2mの高さまで大量の砂が吹き出して多くの家屋が被害を受けている。また、メインストリートの下流側の縁、約500mに渡って地割れが続くなど、液状化がもたらす被害は大きい。同県では、3年前にも同地区で被災しており、その時下水のマンホールが全体で1,400個余り突出するという被害にあった。その原因は、埋戻し土の液状化であると分かったため、セメントを埋戻し土に混ぜて戻した。その結果、今回はマンホールの浮き上がりは生じていなかったという。

 このように、自然災害に対処するのは困難だが、過去の事例を参考に改善策を考慮すれば、液状化の防止につながると思われる。

(機関誌 平成19年10月号より)