石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

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エルニーニョ/ラニーニャ現象

エルニーニョ/ラニーニャ現象とは?

 エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の中央部(日付変更線付近)から南米のペルー沿岸部にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が半年から1年半程度続く現象であり、数年に一度発生します。これとは逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象は、ラニーニャ現象と呼ばれています。

 エルニーニョとはスペイン語で「幼子のイエス・キリスト」のことを指し、もともとペルー北部の漁民が毎年クリスマス頃に現れる小規模な暖流のことを呼んでいたもので、この言葉が、数年に一度起きるペルー沖の高温水現象の意味で使われるようになりました。

 一方、ラニーニャはスペイン語で「女の子」を意味します。エルニーニョの反対現象を表す言葉として米国の海洋学者フィランダーが1985年に提唱し、定着したものです。

なぜ起きる?

 エルニーニョ現象のときには、大気も変化しており、大気と海洋の相互作用が重要であることはわかっていますが、発生のきっかけについては充分に解明されていません。

 エルニーニョ現象の起きる前に、西部太平洋赤道域の広い範囲に暖かい水がたまる場合があり、これが発生の要因になっている可能性が指摘されています。また、西部太平洋赤道域で西風バーストと呼ばれる一時的な強い西風の吹く現象が、発生の引き金になるとも言われています。

エルニーニョ現象と地球温暖化の関係は?

 1990年代前半に、太平洋赤道域東部の海面水温が高い状態が長く続きました。また、1970年代以降、エルニーニョ現象が多く発生し、ラニーニャ現象は少なくなっています。これについて、地球温暖化との関連を指摘する調査結果がある一方、自然変動だけで充分説明できるとする調査結果もあり、研究者の間では意見が一致しているわけではありません。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第3次報告書によれば、多くの地球温暖化予測実験モデルで、温暖化したときの平均的な海面水温は、エルニーニョ時に見られるようなパターンになると予測されています。

日本への影響は?

 エルニーニョ/ラニーニャ現象の時、日本の天候には様々な影響が現れます。エルニーニョ現象のとき、日本の春は温暖、夏は冷夏、冬は暖冬の傾向があり、ラニーニャ現象のときはその逆になる傾向があります。この冬は世界的に記録的な暖冬となり、石川県においても金沢で1月に観測開始以来初めて降雪量がゼロとなりました。この暖冬は、3月からいつもの冬に逆戻りした感じとなりましたが、暖冬の間、エルニーニョ現象が発生していたことは記憶に新しいことと思います。

最後に

 現象は地球規模の大気と海洋の相互作用の結果ですから、日本に及ぼす影響の傾向を把握しておけばいいのです。

エルニーニョ現象の模式図

(機関誌 平成19年4月号より)