石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

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ゲリラ豪雨

 ゲリラ豪雨とは、予測が困難で、突発的に局地的に降る豪雨のことを指す俗語です。

 2000年以降、予測困難な「局地的大雨」が降った場合に、「突然発生すること」「局地的であること」「同時多発することがあること」などから「ゲリラ豪雨」という表現が使われるようになりました。

 名称の発端は、2008年8月5日に練馬区周辺で発生した局地的豪雨にあります。これは、豪雨になっていなかった下流で下水道工事中の作業員が流されたとの報道の中で、「ゲリラ豪雨」という用語が使われて以降、一般的に用いられるようになりました。

 当初、ゲリラ豪雨は気象観測網に捉え難い豪雨という意味合いが強かったものの、現在では大気が不安定な状態で降った散発的豪雨をマスコミがゲリラ豪雨と報じるなど、当初の「難捕捉性・難予想性」から「難予想性・強降雨性」を念頭に置いた意味合いに、変質しつつあるようです。

 一方、「爆弾低気圧」と同様に、「ゲリラ」という言葉は軍事を連想させ不適切とする見方、また、既に集中豪雨やスコールなど同義・類義語がある中、わざわざ新語を用いる必要が無い、との観点から、ゲリラ豪雨という言葉の使用に否定・批判的な見方もあります。

防災インフラの整備と豪雨予測

 1960年代までは、気象災害による死者、負傷者の最大の原因は台風でしたが、伊勢湾台風の教訓から災害対策基本法による防災インフラの整備により、事前予測が可能な台風の被害は減少したものの、一方で降雨量の増大により梅雨前線等に伴う集中豪雨の被害が目立つようになりました。このような集中豪雨の発生を捕捉するための、アメダス観測網の整備や気象衛星の打ち上げにより気象予報の精度が向上し、梅雨前線に伴って発生するような集中豪雨の不意打ちは減少しました。

ゲリラ豪雨の特徴と発生のメカニズム

 ゲリラ豪雨は、10km四方程度の、極めて狭い範囲に1時間あたり100mmを超えるような猛烈な雨が降りますが、雨は1時間程度しか続かないという特徴があります。これは、前線に伴って次々に積乱雲が発生する集中豪雨とは明らかにタイプが異なり、都市に降った場合は雨量を処理しきれずに洪水を発生させることがあります。このような豪雨は、ヒートアイランド現象などの要因で積乱雲が著しく発達することが原因の一つとも言われています。

ゲリラ豪雨への対策

 行政や研究機関などは更なる研究と観測・予想の強化、官民の防災機関などはゲリラ豪雨に対応した防災体制の構築と、2つの方面からの取組で防災・減災が図られつつあります。 前者は、現存する気象レーダーの増設、数値予報モデルの高精度化や雨粒の直径を計測可能な新しいタイプの気象レーダーの設置等であり、後者は、特に洪水などの情報伝達に関して課題があり、自治体により差があるのが現状であることから自主防災組織や消防団、水防団等の従来の活動を強化する手法も重要とされています。

特別警報と防災

 2013年8月30日から特別警報の運用が開始されました。具体的には、気象庁が気象災害、水害、地震、噴火などの予想される現象が特に異常であるため、重大な災害の起こるおそれが著しく大きい旨を警告する新しい防災情報で、「これまでに経験したことがないような大雨になっている」、「ただちに命を守る行動をとって」という報道があれば、迅速に避難行動をとることが必要です。

 また、万が一に備えて、日頃から防災について家族で話し合い、地域の防災訓練等に積極的に参加する等家族はもとより地域の人たちとともに防災意識の徹底と高揚を図ることも重要です。

(機関誌 平成25年9月号より)