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光化学オキシダント
光化学オキシダントとは?
自動車や工場などから排出される窒素酸化物や揮発性有機化合物と、太陽からの紫外線が化学反応を起こすと発生する酸化性物質のことです。主成分の地表オゾンは人間の呼吸機能や植物の光合成を阻害する作用を持っています。水銀などと異なり、植物内には残留せず、食品としての安全性には問題ないと言われています。
また、光化学オキシダントがたまり、白くもやがかかったような状態を「光化学スモッグ」と言います。この現象は、1970年代の高度成長期においてピークを迎え、その後減少傾向にありましたが、近年、ヒートアイランドや中国からの大気汚染の流入の影響などにより、増加している大都市地域もあります。
光化学オキシダントの濃度が高くなったらどうなる?
主に、春から夏にかけての、気温が高くて日差しが強く、風があまりないときに高い濃度となります。人体に及ぼす影響といえば、「目がチカチカする」、「のどが痛む」などのほか、頭痛、吐き気、息苦しいなどの症状が出ると言われています。
法的措置はある?
大気汚染防止法(1968)は第23条の緊急時の措置で、光化学オキシダントの注意報・警報の発令を規定しています。
注意報に該当する濃度は、常時監視の測定データが1時間値で0.12ppmを超えた場合とされ、気象条件からみて汚染が継続すると認められるとき、都道府県知事はテレビ・ラジオを通じて一般への周知、固定発生源や自動車に排出や走行の自粛を求めるなどの措置がとられます。
さらに状況が悪化して、人の健康や生活環境に重大な被害が生ずるような場合は、警報の発令を規定しています。この時の濃度は、0.4ppm。この場合は、固定発生源に対しては、命令、自動車走行については公安委員会の措置要請を行うとされています。
注意報が発令された場合の対処法
これらの注意報などが発令された場合の措置として、1.屋外での運動や作業を避け、室内へ入り窓を閉める、2.工場や事業場は、燃料や電力の使用を控え、燃焼行為を自粛する、3.自動車の運行をできるだけ控え、エンジンのかけっぱなしや空ふかしはやめる、といったことがあります。
なお、被害を受けた場合は、洗顔やうがいをし、最寄の保健所または自治体の保健環境課へ連絡するといったことが必要です。
近年の状況
農作物に及ぼす影響として、最近の研究結果で、中国大陸から運ばれる大気によってその濃度が上昇し、日本海沿岸部のある地点のコメの収量が、内陸部との比較で約1割少なくなっていることが分かっています。これは、農業環境技術研究所が発表したもので、原因は、同物質の主成分である地表オゾンが植物の気孔を通って葉の中に入り、光合成作用を妨げるためとされています。近年は、高山や日本海の離島などで高い濃度が観測されており、昨年は新潟、大分県で初めて注意報が発令されました。
私たちの生活自体がこの現象を引き起こす最も大きな要因になっていることからも、普段身近なことから見直すことが、物質発生の抑制につながると思われます。
参考資料
- EICネットホームページ
- 中能登町ホームページ
- Wikipediaホームページ
- 読売新聞
(機関誌 平成20年7月号より)