石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

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耕作放棄地

 近年、耕作されずに荒地となっている耕作放棄地が増加しています。
 農地が耕作放棄地となる要因は、「高齢化等による労働力不足」が最も多く、ついで「生産性が低い」「農地の受け手がいない」「土地条件が悪い」等があげられます。
 農業従事者の主力を担ってきた世代が高齢化し、規模縮小や離農が進み、農地を受ける担い手がいなくなっている状況下で、土地条件が悪い農地を中心に耕作放棄地が増大しているのです。

 現在、世界的に食料の供給安定への不安が広がっている中、外国産食品による健康被害が発生し、国民の食料自給率向上への関心や国内産志向が高まっていることから、我が国にとっては食料自給率を高めていく好機となっており、農業生産の増大に国を挙げて取り組むことが必要となってきています。
 耕作放棄地の増加は、地域の景観を損なうだけでなく、病害虫の温床や有害鳥獣の隠れ場所となる等、近隣の農作物への被害を及ぼし、ひいてはその地域全体の活力にも悪影響を及ぼします。さらに、耕作放棄地の増加を放置しておくことは、農地の多面的機能の維持増進が困難になる等、多くの問題の発生につながります。
 このような理由から、耕作放棄地の解消や発生抑制の必要性が叫ばれているのです。

 全国には386,000ha、石川県には3,131ha(2005農林業センサス)の耕作放棄地があります。
 これら耕作放棄地については、農林業センサスが農家からの聞き取りによる情報であり、耕作放棄地の詳細な位置と状況が不明であることから、これらの状況を明確にするため、国・県協力のもと、全国の市町村・農業委員会が、市町村内の全ての耕作放棄地を対象に、状況に応じて(1)草刈などで耕作が再開できる「緑」、(2)耕作再開には基盤整備が必要「黄」、(3)農地の復元は不可能「赤」の3色に色分けし、地図上に表示するための一筆調査を行います。
 調査の結果、将来的に営農再開を見込める農地については、その利用方向(耕作放棄地解消計画)について取りまとめる予定となっており、その後、地元農業者の意向を把握しながら、対応策を検討することとしています。

 耕作放棄地は、その発生原因や荒廃の状況、権利関係、受け手となる周辺農業者等の態様が地域によって様々であるため、現状を的確に把握し地域の実情に即した、きめ細やかな取組が必要になってきます。
 国が来年度に向けて検討している耕作放棄地解消施策で、そのような取組が可能となることが望まれます。

(機関誌 平成20年10月号より)