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公的年金制度改革<その2>
わが国の年金制度は、前回も述べたように職域ごとに分立しており、年金財政の仕組みも、各制度ごとに給付費用を賄うために必要な財源を、その制度の現役世代の掛金負担で賄う方式(世代間扶養)になっています。
したがって、各制度ごとの年金受給者と現役の加入者数の動向が、その制度の財政状況と負担に影響し、産業・就業構造の変化により加入者が減少した制度は、財政的に苦しくなります。
特に近年では、高齢化社会が本格化してきており、何らかの対策を打ち出さなければならない状況になってきています。
こうしたことから、政府は、財政単位を大きくし、公的年金制度として共通する部分の費用負担が著しく違わないように公平化を図るため、公的年金の一元化の方針を打ち出しました。
この一元化方針に則り、昭和61年には全国民共通の基礎年金が創設されたほか、被用者年金制度間の給付面での公平化が図られました。また、平成2年4月から平成9年3月までは被用者年金制度間における費用負担の調整措置が実施されました。
さらに、平成8年3月には、公的年金制度の再編成に関する新たな閣議決定が行われ、9年4月には再編成の第一段階として、旧公共企業体の三共済組合が厚生年金に統合されました。
また、この閣議決定で、農林年金は財政再計算時ごとに制度の位置づけについて検討を行うこととされました。
現在、農林年金財政は、健全な状況にありますが、年金給付に必要な費用を掛金収入だけで賄うことができず、積立金の運用収入の一部を給付に充当する収支構造になっています。
これについては次号で紹介することにします。
(機関誌 平成10年8月号より)