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国際単位系(SI単位系)
人がものの大きさや量などを計るようになってから5000年が経過していると言われています。古代は身体の部分や穀物一粒の大きさを基準とした計量方法をとっていましたが、同じ名称をもつ単位でも国や地域によって示す量が異なり、不正や詐欺が生じ、争いの原因になりました。さらに18世紀頃になると、産業革命により国際貿易が活発化し、多国間で共通の単位を設ける必要性が高まってきました。
そこで、1790年、フランスで新しい単位制度の提案がなされ、1795年に国民議会の採択により長さをメートル、面積をアール、質はグラムという呼び名を持つ「メートル法」が誕生することになりました。その後、国際的な検討や調整が行われた後に、1870年、最初の国際会議が開かれ、1875年に19カ国の批准を得て、メートル法国際条約が締結されました。
それからおよそ100年の歳月が流れ、さらなる産業の発達や科学技術の進歩により、メートル法に定められた度(長さ)量(容積)衡(重さ)の範囲だけでは対応しきれない状況となってきました。これを受けて1960年、国際度量衡総会は一般人から専門家までが共通に使える一貫性を持った単位で、一量一単位と整理すべきであるとし、新たな単位として「国際単位系」(SI単位系)を制定しました。
SIとは、フランス語“Le Systeme Internationald’ Unites”の略称で、下表で分かるように7個の基本単位、2個の補助単位そして組立単位というもので構成された単位系となっています。基本単位とは、他の量を定義するために基本として用いられてきたもので、独立した単位を言います。この基本単位を用いて乗除計算で表す単位を組立単位といいますが、中には基本単位が多いと表現が複雑になるので、固有名詞、例えば、周波数はヘルツ、力はニュートン、圧力はパスカルといったもので示されるものもあります。また、補助単位においては、一見組立単位のようですが、数学など特定の分野で用いられる際に基本単位のような性質を持つため、基本単位に次ぐものとして分類されています。また、これらの単位を10の整数乗倍で示す場合、接頭語というものを定めており、ヘクト、ギガ、マイクロ、ミリ、キロなどがあります。
建設分野においての移行については、1999年10月から完全にSI単位での表示となっており、対象になったのは重量度(m/s2)の積の表現で、ニュートン(N:kg・m/s2)が新たな単位として用いられることになりました。この動きに伴い従来単位との調整を図っているところで、他分野との技術交流の活性化などに向けても早期の定着が望まれるところです。
(機関誌 平成12年6月号より)