石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

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災害復旧事業<その1>

 我が国は、モンスーン地帯に位置し、四季の変化に富んだ表情豊かな国であると共に、梅雨前線の停滞による豪雨、台風通過に伴う風水害、加えて近年は記憶にまだ新しい地震による被害など、災害を受けやすい環境にあるといえます。

 とりわけ農地、農業用施設が被災すると、農業生産基盤が損なわれると同時に農村社会全体に大きな影響が及ぶことになります。農業、農村の果たすべき役割は多面的かつ広範囲にわたるため、被災施設の早期復旧が強く求められます。

 一般的に言われる災害とは、「異常な自然現象や人為的原因によって、人間の社会生活や人命の受ける被害」とされていますが、復旧事業の対象となる災害は、「暴風、洪水、高潮、地すべり、地震、その他の異常な天然現象によって生じた人的な損傷、建物、作物等の損失、河川、道路、港湾あるいは農地、農業用施設等の損害」を指し、原因不明なもの、人為的な原因によるものである場合は、災害として取り扱えないことになります。

 災害により破損した施設の復旧は、本来その管理者が行いますが、一般的にはその復旧費用が多額となり、被災者の経済力では適切でかつ迅速な復旧が困難なため、国の災害復旧事業制度により、その事業費の一部について国が補助や負担をしています。

 農林水産省構造改善局が担当している災害復旧事業の対象には、農地並びに農業用施設として用排水路、ため池、頭首工等のかんがい排水施設、農業用道路、農地保全施設があり、また、公共土木施設として海岸保全施設、地すべり防止施設があります。それに関係してくる法律は、農地農業用施設が「暫定法」、公共施設が「負担法」で、これらは後でふれることになります査定の所で重要になってきます。

 この事業での復旧工法は、一般の改良事業とは目的が異なるため、元あった形に復旧することを原則としています。しかし、それが不可能であったり、不適切であったりした場合には、被災前の施設の機能を限度として、形状、材質を変えた形で復旧したり、これに変わるべき代替施設、例えば以前頭首工であったものを今度は揚水機場として復元したりするということもあります。

 その他、災害を受けていない部分であっても、次にその可能性があるものについても、災害関連事業として実施する場合もあります。

 この復旧工事において、国の補助を受けようとすれば、その災害が一定の要件を満たしていることが条件となり、定められた基準に基づいて事業費を決める査定という段階を踏まなければなりません。次回はこの査定以降の流れについて見て行きます。

(機関誌 平成10年2月号より)