石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

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災害復旧事業<その2>

 災害にあった施設を復旧する際には通常多額の費用がかかります。その一部を国から負担してもらうことができますが、一定の要件を満たしていることが必要となります。定められている基準に従って審査を行い、事業費を決めますが、この行為を「災害査定」といいます。

 いろいろと細かい規定が設けられていますが、主な基準として異常な天然現象であったか(最大24時間雨量が80㎜以上)、農地または農業施設であるか(個人の宅地用地等でないか)、一カ所の工事費が30万円以上か(経済効果が小さいものは除外する)などが挙げられます。この査定を受ける場合、事業主体は災害発生後60日以内に「災害復旧計画概要書」を作成し、農林水産大臣に提出しなければなりません。

 そこで実際に査定が行われるのですが、農林水産省から現地に係官を派遣し、提出された概要書に基づいて大蔵省係官が立ち会って実施されます。原則として箇所ごとに現地調査を行い、被害事実を確認しますが、近年は直接現地に赴かず、役場や公民館などの屋内で行う「机上査定」が主となってきています。その場合、施設台帳や、関係資料等を基に行いますが、特に被災状況が明確に分かる写真を用意することが必要となります。

 このような過程を経て補助率が決定されるのですが、暫定法では、通常農地は事業費の50%、農業用施設は65%(沖縄は両者とも80%)とされており、被害が特に大きいものについては、関係耕作者1戸当たりの事業費により高率補助が割り当てられます。例えば、8万円を越えて15万円以下の部分は、農地80%、農業用施設90%、それを越えるものについては、それぞれ90%、100%とされています。また、「激甚法」により「激甚災害」に指定されると、暫定法に基づく国庫補助の残額に特別の財政援助措置をとることができます。多様な状況に対応できる措置がとられているのは、とにかく速やかな復旧が求められているためだと言えます。

 そのため、すべての復旧箇所が3ケ年以内に完了するようにしており、特に最近では、災害のあったその年度内に多くが復旧完了し、全体の平均進度で約80%に達する復旧が行われています。

 この様に災害復旧をスムーズかつ適確に進めるための留意点としては、まず被災報告を早急かつ正確にすることが一番のポイントとなります。これは、被災された施設をもれなく救済するといった意味で重要なこととなってきます。また、対象となる災害は、1月1日から12月31日迄の間に発生したもののみとなるので、その年を過ぎてしまうと、災害として認められないことに注意すべきです。

 その他にも、災害復旧の対象となる施設の管轄の違い、例えば、農地、農業用施設は構造改善局、林業用施設は林野庁、漁業用施設は水産庁、共同利用施設は大臣官房といったことも一つ頭に入れておきたい事項です。

(機関誌 平成10年3月号より)