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砂漠化
近年、無計画な開拓や開発による生態系への影響か、地球規模で環境破壊が深刻な問題となっています。その代表的なものに、「砂漠化」があります。砂漠化の定義は、「乾燥、半乾燥及び乾燥半湿潤地域におけるさまざまな要因(気候変動及び人間活動を含む)に起因する土地の劣化」とされています。
国連環境計画(UNEP)によれば、全地球で年間6万ha、つまり九州と四国をあわせた面積とほぼ同じ土地が砂漠化しているということです。現在は、地球の陸地の4分の1に当たる3,600万hで砂漠化が進行し、世界の人口の6分の1(約9億人)がその影響を受けています。特に農地の砂漠化が著しく進んでおり、全耕地面積4,400万haのうち79%がその危機に面していると言われています。
砂漠化の原因は、地球規模での大気循環の変動による乾燥地の移動という自然的要因と、木材の確保や農地確保のための樹木の栽培や過放牧など人為的なものと様々です。
こういった事態を食い止めるための国際的な取組みの一つとして、「砂漠化対処条約」(正式名称:深刻な干ばつ又は砂漠化に直面する国(特にアフリカの国)において砂漠化に対処するための国際連合条約)があります。条約成立の経緯は、1977年に国連砂漠化防止会議(UNCOD)が開催され、「砂漠化防止行動計画」が採択されたことからはじまり、1994年6月に第5回政府間交渉委員会で同条約が採択されました。その後、1996年に条約発効となり、日本も同年の12月に署名し、対策を支援していく姿勢を明らかにしました。なお、2002年4月1日現在においては、179ヶ国が締約しています。
この他具体的な取組み例としては、86年にアメリカ政府が農家に援助金を支給して、全農地の10%にあたる土地での耕作を中止させたものや、農林複合経営といって、農地に木を植えることで砂漠化を防ごうとしている地域もあります。しかし、これは経済的に余裕のある国に限られており、アメリカ以上に砂漠化に悩むインド、中国、アフリカなどでは、慢性的な食糧不足や先進国への木材輸出のため、土地を休めるといった措置などは到底とることはできないのが現状です。
このように、砂漠化の背景には、先進諸国の贅沢な暮らしのために後進国の生活環境が犠牲になっているという問題があります。今、私たちに出来るのは、自分たちの生活がこの事態を招いている一因だという認識を持ち、出来ることから日々改善していくことではないでしょうか。
(機関誌 平成14年12月号より)