石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

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スローフード

 ファーストフードという言葉は、今や知らない人はいないと思いますが、その反対語のような言葉に、「スローフード」があります。

 これは、単にファーストフードの対義語というものではないのですが、一言で言えば品質のよいものをゆっくり食べようという食文化活動で生まれたスローガンなのです。日本でいうと、郷土料理・地酒を見直そうといった意味になりますが、根底にあるのは、(1)消えてゆく恐れのある伝統的な食材や料理、質のよい食品、酒を守る、(2)質のよい素材を提供する小生産者を守る、(3)子供たちを含め、消費者に味の教育を進める、といったテーマです。

 これは、そもそもイタリアのブラ(BRA)という地域からスタートしたNPO(非営利団体)が1986年に発表した「スローフード宣言」が始まりで、現在は世界中に約7万5千人以上の人が参加しています。イタリアでは、各地の食材やワイン、料理、文化的情報を集め、味の発見と確認をしようという「食の祭典」を2年に1回開催しています。

 日本では、日本スローフード協会という組織がNPO法人として内閣から認証されており、全国で活動を展開しています。主な活動内容は、伝統的な食材や各地の郷土料理を体験したり、昔ながらの日本酒の醸造方法の見直しや品質規準などの調査、また、小規模な生産者が作るよい素材、本県で言えば加賀野菜などになりますが、これを守り推進していくためにホームページで紹介などを行っています。さらには、子供たちへ味覚の教育を行うという「食育」への取り組みも実施しており、県内でも子供たちに地引網でつかまえた魚を自分たちで調理する体験教室を開催しているほか、この4月から一部の幼稚園で、週2回の割合で給食に地の物を材料としたメニューを取り入れてもらうこととなりました。

 現在、スローフードと類似した考え方のものに、「地場生産・地場消費」の取り組みがあります。通称「地産地消」といわれており、地域で生産されたものを地域の中で消費するという意味です。全国的に様々な取組みがなされているところですが、県内でも小中学校の給食に地場産業農産物を取り入れていこうということで、各地に促進協議会を設置し、この運動を推進しているところです。農林水産省の新年度の基本方針の中でも地産地消推進対策というプロジェクトチームが組織されることとなっており、今後ますます力を入れて取り組まれていくことと思われます。

 国際化が進み、あらゆる方面から多種多様な食品を手にすることができるこの世の中。本当に安心して口にできるものは何か、今一度見直さなければならない時期に来ているのではないでしょうか。食の流通経路において、生産者の顔が見える、そしてそれぞれの地域で取れる本当の意味で美味しい食べ物を手にするといった意味でも、大切な取り組みであると言えます。

(機関誌 平成14年4月号より)