石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

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世界測地系

 地球上の位置を緯度経度で表すための測量の基準を測地系といい、国ごとに独自の測地系を定めています。

 現在日本で使われている測地系は、明治時代に定められた「日本測地系」で、東京における天文観測だけで決めたものとなっています。

 これに対し、人工衛星からの電波を受信して簡単に緯度経度を求めるGPS(汎地球側位システム)等の最新の測量技術を用いて計測した「世界測地系」が、世界の標準となっています。

 この世界測地系が導入された場合にどのような変化が見られるかというと、緯度経度を表す数値が変わることになります。日本列島の場所によって、その数値は少しずつ異なりますが、離島部を除く地域では、緯度が約8~14秒、経度が約9~15秒変わることになります。距離でいうと、経緯度のずれによって東京付近では座標値が南東へ約450m、三角網のひずみで東京から見て札幌の位置は西へ約9m、福岡の位置については南へ約4mずれてきます。この変化量により、精度の粗い位置座標、あるいは独自の座標系に基づいて決定される位置座標は影響を受けることはありません。

 しかし、特にインターネットが急速に普及している今日においては、国内のGIS(地理情報システム)も国際的なつながりが生じるということで、現在の測地系のままでは何らかの支障が生じるのではないかという懸念もあります。

 考えられる問題点としては、国家基準点の精度が現在の高精度測量機器に対応していないため高精度の測量結果が生かされないこと、また、作業効率が落ちるといったことが挙げられます。

 効果としては、(1)より科学的に合理性のある位置の表示ができるようになる(2)GPSで直接得られる経度・緯度がそのまま利用できるようになり、GISの構築が容易になる(3)航海・航空の安全性が向上する(4)世界規格の標準的なGPS製品が日本でも直接使える(5)各国における世界測地系の普及を促進することにより、国際標準化に貢献できるといったことなどが考えられます。

 現在、日本においては海上保安庁が世界測地系の導入を行っており、平成12年4月から世界測地系を用いた海図を発行しているほか、インターネットで人工衛星の観測から世界測地系と日本測地系の関係を精密に決定したものを公表しています。

 世界の動きとしては、北米地域、北欧地域などでは既に独自の測地系から、世界測地系に移行しており、アジア太平洋地域でもインドネシアやオーストラリア等が採用を決めています。

 航空関係施設の位置なども世界測地系で表示されるようになっていること、また様々な国際機構等が世界測地系を推奨しています。このような状況を踏まえ、我が国も政府の規制緩和推進3か年計画に示されているように、世界測地系の導入が急がれます。

(機関誌 平成13年7月号より)