石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

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日本型食生活と食料自給率

我が国の食生活は、伝統的な米、魚、野菜、大豆をはじめとする素材に、肉、牛乳・乳製品、油脂、果実などが加わった、栄養バランスのとれたものとなっています。

 特に、たん白質を大豆などの植物や魚介類から摂取する割合が欧米に比べて高く、成人病と関連の深い脂質の摂取構造においても、「魚介類を除く動物性脂質」と「植物性及び魚介類の脂質」との比率が約1:2と望ましい姿にあります。

 このような健康的で豊かな日本の食生活の姿を、「日本型食生活」と呼んでいます。

 これは、日本が世界の最長寿国の一つとなっていることもあって、各国の注目を浴びており、国民の健康面を考えてみても、今後もこの日本型食生活を維持していくことが重要と思われます。

 一口にバランスのとれた食生活といいますが、その指標として、たん白質(P)、脂質(F)、炭水化物(C)の熱量比率を見てみると、下記のグラフのように日本が理想的な形をとっているのが分かります。

 しかし、近年、食生活の様式が欧米化されるとともに、日本の食卓は多様化し、従来の日本型食生活が崩れつつあります。

 現在は、米、野菜、魚介類などにおいては高い自給率を維持していますが、米の消費の減少や畜産物消費の増加による輸入穀物の増大等により、その需要量のすべてを国内生産で賄うことが困難となり、どうしても輸入に頼らざるを得なくなってきています。つまり、「食料自給率」が低い状況にあるといえます。その自給率ですが、平成8年度には42%(穀物自給率29%)まで低下し、主要先進国のなかでも著しく低いものとなっています。

 従って、これからは国内農業の生産性の向上、経営感覚に優れた経営体や農地・水資源の確保、また、農業技術の革新を図り、品質・コスト面での改善を推進することにより、多彩な自然条件を生かしながら可能な限り国内農業生産を維持・拡大し食料自給率の低下傾向に歯止めをかけていくことが基本となります。

 先般出された基本問題調査会の最終答申においても、この食料自給率について述べられており、農業や食品産業に携わる者だけでなく、国民全般にわたっての問題であり、各個人が問題意識を持って具体的な課題に積極的に取り組むことが、自給率の維持向上につながっていくとされています。

 飽食の時代、豊かな時代といわれ、著しい変化が見られる日本の食生活。何が本当の意味で豊かといえるのか、今一度見直してみる必要があるのではないでしょうか。

(機関誌 平成10年10月号より)