石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

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農業・農村の6次産業化

 6次産業とは

 平成22年3月に閣議決定された新しい食料・農業・農村基本計画において、「農村の振興に関する施策」の一つに「農業・農村の6次産業化」の推進が掲げられました。「6次産業」とは、現JA総合研究所長の今村奈良臣氏が提唱している造語で、1次産業(農林水産業)×2次産業(製造業)×3次産業(小売業)=6次産業という考え方となります。つまり、農林水産業などの1次産業が食品加工・流通販売にも業務展開している経営形態を指しており、これら3産業の融合等により、農山漁村に由来する農産物やバイオマス、伝統文化などのあらゆる資源と産業とを結びつけ、地域ビジネスの展開と新たな業態の創出を促し、農山漁村に雇用と所得を確保することをねらいとしています。そして、上記の数式でも分かるように、基礎となる農業・農村が衰退すると、0×2×3=0となり、6次産業の図式が成り立たなくなることから、農業・農村に活力があり元気であってこそ成立するという概念なのです。

様々な取組み・今後の方針

 6次産業の取組みは、右表にもあるように、自家で採れた野菜をレストランで使用したり、休耕田で栽培した飼料用米からバイオエタノールを製造するといった事例があります。県内でも、各地に見られる産地直売所や道の駅などもその一つと言えるでしょう。

 これらの取組みをさらに支援しようということで、農林水産省では平成23年度予算要求において、「未来を切り拓く6次産業創出総合対策」として144億円を計上し、重要な取組みの一つとして位置付けています。

 対策の中では、農業法人などが生産だけでなく、加工・流通に取り組む際に必要となる加工施設(野菜カット工場など)、販売施設(直売所など)、農畜産物提供施設(農家レストランなど)などの設備について5千万円を上限に支援されることとなっています。

 また、新規投資に踏み切れない農業者が多いため、6次産業化を図る農業法人やこれらの法人と連携・協力して生産活動を行う農業法人などに補助が行われる予定です。

 これらの取組みを推進するにあたり、来年度の組織編成において総合食料局を再編し、6次産業化を担当する「産業局」(仮称)を新たに設置することも考えられています。

 近年、集落営農法人が取組む例も増えており、今後、これらの取組みが農山漁村の活性化に大きく寄与することが期待されます。

6次産業の取組み事例(北陸管内)※農林水産省ホームページより

参考文献

  • 農林水産省ホームページ
  • 全国農業新聞
  • 農業共済新聞
  • 農村振興(第729号)

(機関誌 平成22年10月号より)