石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

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バイオエタノール

バイオエタノールとは?

 バイオエタノールとは、植物を原料として作られるエチルアルコールのことをいい、とうもろこしのでんぷん質やサトウキビの糖分などから作られる。エタノールは燃やせばCO2を排出するが、植物が成長する過程で吸収したCO2が再び放出されるだけだと考えられ、結果としてCO2の排出量がゼロとなるため、温暖化防止への期待が大きい。

バイオエタノールは温暖化防止の優等生

 バイオエタノールは硫黄分を含まないため硫黄酸化物の排出がゼロで、煤や黒煙、一酸化炭素や炭化水素が少ないといった優れた特性を持っている。政府は、2005年4月に閣議決定した京都議定書目標達成計画で、2010年までにバイオマス燃料(バイオエタノールとバイオディーゼル)を原油換算で輸入と国産を合わせて50万キロリットル導入する目標を掲げ、バイオマスニッポン総合戦略でも、実用化を強く打ち出している。

 バイオエタノールの製造では、サトウキビ・小麦・米・テンサイなどの植物の生育 → 工場でエタノールに精製 → ガソリンに3%混合して自動車の燃料に活用 → 排気ガスに含まれる二酸化炭素が再びサトウキビなどの植物に吸収される・・・というサイクルが形成され、また、植物からエタノールを精製する過程で残りカスが大量に発生して燃焼材料として利用できることから今後、地域のバイオマス資源を有効利用したエネルギーの地産地消による地球温暖化対策のモデルになることが期待されている。

普及のための各方面の動向

 石油元売会社などで組織する石油連盟は、バイオエタノールを混ぜたガソリンを来年夏から試験販売する方針を固めている。原油価格が高騰する中、バイオエタノールは石油代替燃料として注目されており、問題がなければ22年から本格販売に踏み切る。これに伴い、トヨタ自動車がすべてのガソリンエンジンでエタノール混合率が10%以内のガソリンに対応できるようにするなど、自動車メーカーは燃料として使用できる態勢を構築しつつある。

 環境省では2012年までにバイオエタノールを3%混合したE3燃料の全面普及を目標にしており、経済産業省でも今年から、石油精製施設など全国6箇所でE3燃料製造の実証実験を開始するとしている。

農林水産省、JAの動向

 農林水産省では、国産の規格外小麦や生産過剰となっている甜菜などを原料にしたエタノールの本格生産を支援する方針を決めており、農業団体などによる大規模工場の建設に向け、平成19年度概算要求に85億円を計上している。日本の農業の特性に合わせて多様な農業副産物を活用したバイオエタノール生産を後押しする。

 また、JA全農でも新潟県内に稲を原料にしたバイオエタノール製造工場を設置し、近隣の原料稲をこの工場に搬入することを想定した調査事業を開始しており、新潟県見附市などで多収穫品種のインディカ米を試験栽培している。

今後に向けて

 わが国の稲が生産過剰な状態にある一方で、ほ場条件などで作付けされない水田が全国的に発生しており、稲を資源作物として栽培する事例はバイオエタノールの原料確保の意味からも、今後の進展が期待されている。

(機関誌 平成18年10月号より)