石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

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バイオマス

 バイオマスとは、もともと生態学で「生物現存量」(生態活動に伴って生成する物または植物、微生物体を物量換算した有機物)の意味で使われる専門用語でしたが、第一次石油危機以降は、エネルギーとして利用できるまとまった量の植物起源の物質のことを指すようになっています。「生物資源」と訳されることもあります。

 バイオマスの種類には、木材、草・海草、生ゴミ、動物の死骸、糞尿、プランクトンなど、有機物なら何でも当てはまります。これらを使ったエネルギーの使い道としては、発電、暖房、バス・タクシー・自家用車などの燃料、都市ガス、給湯など様々です。実際に、レストランやホテルでは、大量に発生する生ゴミを自前の装置を使ってメタンガスを発生させ、発電や給湯設備に利用しています。また、サッポロビール工場では、NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)の援助を受けて燃料電池システムを導入し、ビールの生産過程から出る有機廃液で発電を行っています。このほか、京都市の市バスには、使用済みてんぷら油から生成されたディーゼルエンジン用の燃料を使用しているそうです。

 この中でも特に大規模となるバイオガスについて見てみると、他のエネルギーと比較した場合、1立方メートル当たり都市ガスなみの5500~6500kcalのエネルギーを得ることができます。また、この量で、5~6人の家庭の1日分の調理、60~100w相当のガス灯を6時間使用できるなどといったエネルギーとなります。ちなみに、毎日1立方メートルのバイオガスを得るために必要な排せつ物は、牛1頭=ブタ4頭=鳥120羽=人間30人=家庭用生ゴミ20キロ(20人相当)とされています。

 こういった、有効なエネルギー源を活用しようと、農林水産省では、文部科学省、経済産業省、国土交通省及び環境省と協力して、バイオマスの利活用に関する「バイオマス・ニッポン総合戦略」の骨子を策定、公表しました。その利用の積極的な取組みとしては、(1)二酸化炭素の排出源である化石資源由来のエネルギーや製品を、カーボンニュートラルという特性を持つバイオマスで代替し、地球温暖化防止に努める、(2)循環型社会の形成として、限りある資源を有効活用し、持続的に発展可能な社会への移行を促進、(3)農林漁業、農山漁村の活性化、(4)バイオマス関連産業を日本発の戦略的産業として育成することによる、我が国の産業競争力の再構築、といったことが挙げられます。

 なお、農水省では平成14年8月に公表された具体的な行動として、平成15年度概算要求の重点事項のなかでも「バイオマス利活用フロンティア推進事業」などの制度の創設を要求しています。

(機関誌 平成14年10月号より)