石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

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発注者責任

 平成5年のゼネコン汚職事件等をきっかけに、公共工事の入札・契約の適正化を推進するためにこれまで種々の対策が検討されてきました。同年12月には、中央建設審議会により入札・契約制度の改革が建議され、その一環として平成10年度から、「発注者責任研究懇談会」が公共工事担当3省を事務局として設立されました。その根底にあるのは、発注者自らが「公正さを確保しつつ良質なものを低廉な価格でタイムリーに調達し提供する」という“責任”を果たすことが重要であるといった認識で、これに基づいて論議が進められてきました。

 平成12年3月の第1次とりまとめでは、(1)工事内容の評価、(2)企業の評価、(3)発注者自身の評価力の評価、といった3つの“評価”を課題とした新たな制度の提案がまとめられ、中でも発注者自身の評価を適正に行い必要に応じて支援措置をすることが提案されました。

 続いて平成13年4月の第2次とりまとめでは、具体的施策のあり方が検討され、発注者支援については、発注者と受注者の役割分担、支援者の類型、支援者に必要な能力と公正・中立さの担保、資格制度のあり方などが提案されました。

 その結果、平成12年11月に「公共事業の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」が制定され、平成13年4月に施行となりました。

 この法律は、「国、特殊法人、地方公共団体等の発注者全体を通じて、入札・契約の適正化の促進により、公共工事に対する国民の信頼の確保と建設業の健全な発達」を目的とし、入札・契約適正化の基本原則として、(1)透明性の確保、(2)公正な競争の促進、(3)不正行為の排除の徹底、(4)適正な施工の確保、といったことが挙げられています。

 この中でも、全ての発注者に義務付けられる事項として、(1)毎年度の発注工事名や時期等の公表、(2)入札参加者の資格や入札者・入札金額、落札者・落札金額等、また、契約の相手方、契約金額等の公表、(3)発注者は、談合があるという疑いがある場合は、公正取引委員会に通知すること。また、一括下請負等があるという疑いがある場合は、建設業許可行政庁等に通知する、(4)一括下請負(丸投げ)の全面的禁止。受注者は発注者に対し施工体制台帳を提出、発注者はその状況を点検すること、といったことが定められています。

 以上のことを踏まえ、農林水産省では農業農村整備分野での発注者支援制度等の確立に向けて必要な環境整備の具体化に向け検討を進めているところです。今後の取り組みとしては、(1)発注者体制評価に必要なチェックシートの作成、(2)支援者に関する情報の整備(支援機関、所属する技術者、支援分野の登録等)、(3)的確な企業選定に必要な工事成績評定及びデータベースの構築などが考えられています。

(機関誌 平成13年12月号より)