お知らせ一覧
法定外公共物
法定外公共物とは、法律用語や学問上定義されている用語ではなく、いわゆる一般的な呼び方で、法定外公共用物や法定外公共財産とも言われています。
つまり公物に関する一般的な法律は存在しませんが、道路、河川、海岸、都市公園等の個別の公共用物についてはそれぞれの管理について、包括的な法律(道路法、河川法、海岸法、都市公園法)が制定されており、これらを公物管理法と呼ぶことがあります。
しかし、これらの法律は、社会通念上の道路及び河川の全部に適用されるものではありません。したがって、道路あるいは河川など、一般の用に供されているものでも公物管理法の適用の外にあるものがあります。その意味で法定外の公共物があるわけです。
それでは、法定外公共物には具体的にどういったものがあるのかというと、道路法で認定されていない道路(認定外道路)には、里道(公図上赤い線で表示されているアカミチ、赤線)、二線引畦畔、民有地との確証のない脇道や路地などがあります。
次に河川法や下水道法などの適用、準用がない河川には、明治以来農業用水路として公図上青い線で表示されている青線や公図に記載されていない河川、公共用悪水路、ため池などがあります。
土地改良事業(特に区画整理事業)を施行する時、こうした法定外公共物である国公有地が介在している場合、これを施行区域内に取り入れ施行しなければならないときは、その土地を管理する行政庁、または地方公共団体の承認を得て地区に編入(土地改良法第5条第6項)するための手続きが必要となります。
施行地区に編入した法定外公共物の道路又は水路(河川)は換地計画の中で機能交換(土地改良法第54条の2第6項、第7項)という手法によって承認を得た相手方に帰属しなければなりません。また、公物管理法が適用されるものはそれぞれの所管庁等に換地することになります。
これらの法定外公共物の財産的管理については、国有財産法及び建設省所管国有財産取扱規則に基づいて都道府県知事が行い、機能的管理は、地方自治法の規定に基づいて地方公共団体の固有事務として市町村が行ってきました。しかし、法定外公共物といっても所管がはっきりしないものが多く、実際の管理は地元の集落や近隣の住民が行っており、その他、公共の役割を果たさなくなったものは放置されているのが実情です。このように、法律上その取り扱いが明らかでなく、様々な問題があることから、平成7年の地方分権推進法の施行に伴い、平成12年4月1日から財産権、管理権ともに国から市町村に譲与されることとなり、その手続きが進められており、平成17年3月31日までにその手続きを完了しなければならないことになっています。従って、土地改良事業で法定外公共物を地区編入並びに帰属する場合、従来は国有財産部局長である各都道府県知事に対して行っていましたが、今後は、前述の譲与手続きが完了したものは市町村長に対して行うことになります。
(機関誌 平成12年12月号より)