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CALS/EC
年々、インターネットの急速な普及、社会情勢の変化により、世の中では「電子化」が進んできました。その中の一つに、国土交通省で順次導入が計画、実行されている「公共事業支援統合情報システム」があります。
通称「CALS/EC」(continuous acquisition and life-cycle support system,electronic commerce for public worksの略称)といいますが、公共工事の調達を電子的に行おうとするものです。
もとは、80年代後半にアメリカ国防総省の軍需物資調達にかかわる後方支援プロジェクトとしてスタートしたもので、産業競争力の強化戦略のもとで商務省が加わり、自動車のビッグスリーや航空機のボーイングをはじめ、民生分野での導入が広がりつつあります。また95年に日本でも通産省の高度産業情報化プログラムの一環でCALS技術研究組合が発足し、98年まで業種別に10テーマで実証実験が行われました。同年7月には産官共同で企業間電子商取引推進機構が発足しました。
CALS/ECについては、1997年に建設省直轄事業に関してそれまでの「整備基本構想」を前倒しする形でアクションプログラムが策定され、2004年における完全導入が計画されています。最終的には、調査・計画、設計、施工、管理に至るすべてのプロセスにおける電子データの交換、共有、連携を実現することとされています。具体的には、電子入札に代表されるすべての公共事業執行にかかる申請・届け出のオンライン化、事業に関する情報の統合データベース化などが挙げられています。すでに昨年11月13日には、中部地方整備局の「13年度東海環状中屋敷高架橋上部工工事」が電子入札の第1号として実施されるなど着実に進行しています。
農林水産省でもNN-CALS/ECを推進しており、平成15年度から電子入札システムを導入する予定となっています。調査・設計から業務の報告書、図面、写真などの最終成果物を電子データで作成して納品する電子納品については、昨年11月から直轄事業の設計業務から試行しています。
県内の取り組み状況は、昨年6月に「公共事業情報化推進委員会」を設置して、整備目標や対象範囲などの検討を進めており、電子納品など170工事で試行することが予定されています。今後、これらの結果も踏まえた上で、国土交通省の地方展開プログラムなどとの整合も図りつつ、県内自治体や関係業界などへの総合的な展開と普及のための準備を進める方針です。なお、現在の導入目標年次については、県が2004年、中核市が2005年、市町村が2006年を予定しています。
コスト軽減、時間短縮、ミス軽減などにつながることからも、一日も早いシステムの導入が待たれます。
(機関誌 平成14年3月号より)