石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

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GIS(地理情報システム)

 近年、コンピュータ関連の技術革新により、社会の情報化が急速に進んでいます。

 このような中で、豊かな社会を形成していくために欠かせない情報基盤の構築を考えていかなければなりません。

 その取り組みとして、情報を素早く伝達するシステム「情報通信ネットワーク」が整備されていますが、もう一つの要素「空間データ基盤」、すなわち、地理的な情報を基本的な枠組みとして、それに関連したあらゆる情報を扱う仕組みとなっているものについては、出足が鈍いと言えます。そこで今注目を集めているものに「GIS(地理情報システム)」があります。これは、「情報システム」、すなわちコンピュータとそのネットワークを用いて様々な情報を蓄積・交換・流通するための仕組みを指しますが、これにより蓄積されたデータを、地表・地下・地上・領域などの空間を表す「地図データ」と融合することで、より多くの情報をあらゆる角度から提供できるようにするシステムのことです。身近なものにカーナビゲーションシステムなどがありますが、その他にも電気・ガス・通信などの公益事業をはじめとして、医療、福祉、教育など各方面で活用されています。複雑なデータを大量に扱うということで、以前は大型コンピュータを利用しての特殊なシステムであると思われていましたが、ここ数年の技術の進歩により、机上でのパソコンで手軽に行えるようになってからその取り込みが一般化されてきました。

 GISの利点として考えられることは、台帳や紙の地図では容易に出来ない情報検索や分析が可能となり、地図と結びつけて視覚に訴えるので検討・分析・展示をする時に分かりやすいといったことがあります。さらに、大量のデータを扱えることで、さまざまなシュミレーションを簡単に行うとができ、紙の地図では手間のかかる、書き直し、地図帳の交換、増加、複合利用(重ね合わせ、貼り合わせ)がキーボードやマウスで即座に出来るといったこともあげられます。

 自治体においての利用例をみてみると、固定資産、地籍、道路管理、上下水道、都市計画、建築指導、河川維持管理、土地改良、消防、防災などに役立てており、さらには農政、環境、公園緑地、公共施設といった都道府県レベルでの警察などを含めるとほぼすべての部門がGISを利用していると言えます。既に実施している事例に、新潟県亀田郷土地改良区の用排水管理システムがありますが、主に湛水予測のデータ操作として表示を分かりやすく地図上で作業を行う「地図情報システム」や湛水予測のデータを維持し管理する「土地情報システム」などを導入しています。

 これからの時代、このネットワーク化が進んだ社会構造において、データの相互利用や一層の業務の質的な向上を図る上でGISの利用価値が大きくなり、併せて私達の毎日の生活に潤いをもたらしてくれることでしょう。

(機関誌 平成11年12月号より)