多面的機能発揮だより
第29回 秋号「農地・水・環境だより」
懐かしき農村風景「虫送り」復活
中能登支部【水上の水の郷】
酒見地区で約60年ぶりに虫送りを行いました。地元区長さんや地区関係者の方々でさえ子供時代だったという記憶を元に、懐かしく且つ、新鮮な気持ちで当地区の小中学生26人と保護者12人地元公民館の協力もいただき、ほ場整備により様変わりした新しい酒見地内の田園を約2キロ歩きました。
当時のたいまつは古くなった「はざ」を利用していたそうですが、安全性を考え、青竹を子供サイズに調整し、軍手を準備しました。昔を彷彿させるように太鼓や鐘を持ち出し、「ドロ虫飛んで行けウンカ虫飛んで行け」の声を上げながら、にぎやかに伝統農業を復活させることが出来ました。
子ども達が農作業に携わることが少なくなった近代農業において、現代でも取り組める昔ながらの農村風景を体験させることで、米づくりへの関心を記憶に残せたら幸いです。
用排水路管理を通して
県央支部【福久愛護会】
当福久地内において、生産組合員並びに、町会の協力の下、ここ十数年前より梅雨時期に定期的に用排水路の点検・管理を行っています。 当地区は、水の便が悪く地下水を汲み上げ水田に導き稲作に取り込んでいます。その為、水は貴重で用排水路が重要な役割を担っています。近年耕作者離れが進んできて、益々管理不足になりがちです。そんな中、少しでも水路を保全する為、警告制度を設けています。点検には生産組合員と町会数人でグループを組み各所調査に廻ります。サッカーに例え「イエローカード」(1回目の警告)とし用水路の不備なところに黄色い立て札を掲げ、耕作者に注意を促し、2週以内に草の除去・泥揚げを行って頂きます。その後、再度十数人で点検にまわります。その際にまだ不備な箇所には「レッドカード」と称し赤い立て札を立て、再度耕作者にお願いし不備が無いようお願いしています。「イエローカード」・「レッドカード」を用いることによって、不良箇所が分かりやすく耕作者に柔かく警告をしています。又、点検者は毎年代わるので地域全員が何を行っているかが分かり年々管理が良くなってきています。
イエローカードの設置
レッドカードとなった箇所
カードにより改善された箇所
そのほか、春先には、箇所廻りと題し水路・各所樋等の点検を実施し、後日用水の泥揚げ、樋の修理を行っています。又、秋の収穫前には、農道の砂利敷き・河川土手の草刈を行い農道等の整備を図っています。最近は年々若い方の参加が増えてきてコミュニケーションの場ともなっています。
調査員
地域住民との交流を通して
南加賀支部【弓波町資源保全会】
弓波町地内において、農業者及び町民の協力の下、支障となるパイプライン取水口の泥の排出作業に取り組みました。 当地区には、ポンプ場が3カ所ありますが、近年の集中豪雨の影響で取水口に溜まる泥の量が年々増えていますが、農家の高齢化により清掃等が大変大きな負担となっているため、多面的機能支払交付金を活用して農家以外の若手の町民の協力を得ながら作業をスムーズに進めることができました。
また、老人会有志の協力の下、法面にシバザクラの植栽をおこなっています。 老人会の方々の健康維持を兼ねて春先の柔らかな太陽の下、根気よく細かく草取りを行ってもらいました。
この事業が始まってから、段々と植える面積が増えてきて、春先の田園風景にピンクの色が映え景観が良くなってきました。
多面的機能支払活動について
中能登支部【増穂の郷】
石川県羽咋郡志賀町相神・中浜地内に於いて、農業就業者の高齢化、後継者不在の現状(過疎化の進展)から地域住民の協力の下「全員企画、総員参加」をモットーに、農用地・水路・農道・等の農業資産の維持、効果的活用、及び農村景観の管理、地域社会・住民交流による啓蒙・広報・普及に取組んで“農地・水農村環境活動”から8年目に入りました。基本的な事業「草刈」、「水路泥上げ・江掘り」は農業者だけでなく、地域住民(1名/1戸)で取組んでいる。当初は作業分担、作業指導、安全面、等に苦慮した面もあったが、年を重ねる毎に作業は勿論、農業・地域の環境に対する見方、考え方も変わってきている事が実感出来る。又、学校との連携で『学童農園』を実施 「学童農園」田植え作業 しており、児童、父兄の農業(作物作り)への関心も高まっている。同時に水土里や治水の重要性を再認識して貰っている。「世界農業遺産」認定から“優れた里山景観”“多様な生物資源”の保存、更なる発展に結びつくように活動してまいります。
「草刈」
住民参加による草刈作業
「学童農園」
田植え作業
都市近郊で美しい農地の保全を目指して
県央支部【袋畠町農業促進会】
金沢市の中央を流れる犀川の左岸に位置し、西部緑地公園、陸上競技場、石川県産業展示会館に隣接する、都市型地域で稲作栽培している当活動組織です。近年は農業後継者不足と高齢化により、農家戸数の減小が進む一方である。そうした現状の中で耕作農家全員で農地の受委託化を進め、耕作放棄防止に努めています。
農地の保全管理、農業用水、排水、農道整備、施設の管理等、全員で作業を分担し、農作業受委託者の作業軽減に努めている。また遊休農用地の有効活用として、景観植物の植栽を決定し、五月末、休耕地を整備し、種まき(ロシアひまわり)の準備をした。六月初旬ひまわりの種まきを行い、その後数回の除草作業等を経て、七月中旬、無事開花を迎えた。当活動組織は全体で生育状況の管理を行い地域での話題で時事放談を行いながら親睦を計りつつ、集落営農維持に努めています。
【感想】
- 概ね順調だったが草刈り等で思わぬ手間がかかってしまった。
- 次回からは、除草シートなどの導入を検討したい。
- ロシアひまわりはでかいので犀川道路からの景観は良好である。