石川県土地改良事業団体連合会 水土里ネットいしかわ

いしかわの農業用水めぐり

軽海(かるみ)用水


軽海用水給水口


軽海用水頭首工
竣工記念碑

 軽海用水は、小松市内のほぼ中心部を流れる一級河川梯川を用水源として梯川左岸軽海地内に取入口が設置されており、その周辺382ヘクタールをかんがい区域としている。

 その創始は、はっきりとは分かっていないが、「能美郡史」などによると14世紀に田積61町歩をかんがいしていたと記されており、この時期までには現在の軽海用水の基となる用水が梯川から取水されていたという。

 軽海用水は、その500年という古い歴史の中で本来の用水機能の他にも様々な役割を果たしていた。例えば用水に近接する地域の年貢米を米蔵へ運ぶといった物資の運搬や、この一帯は井戸を掘っても良い水に恵まれないことから、飲料水や炊事、洗濯に利用されていたと言われている。

 そして、この用水の源となっていた梯川は、人々に恩恵を与える一方、毎年1~3回にわたって洪水を引き起し、取水施設はもとより宅地、農地にもその被害が及んだ。

 そのため、管理に大変な労力を要した用水であるが、明治22年に19集落を一体とした軽海用水普通水利組合を結成し、用水量の確保など用水路の維持管理に努めた。この組合は、後の昭和26年、土地改良法の制定(昭和24年)により小松東部土地改良区と名称を変えることになり、名称が変更したのを機に小規模県営かんがい排水事業に着工、昭和28年にコンクリートの頭首工と取水水門が完成した。

 この頭首工の完成に続いて昭和28年度から昭和31年度にかけて団体営積寒かんがい排水事業で幹線用水路2,285m、南北用水路4,494m、支線用水路2,020mの石積及びコンクリート護岸水路を竣工した。

 この一帯は昭和40年頃から都市化が進み、丘陵地が開発されたこと等のため、従来の排水機能の限界を越えるようになった。そこで排水事業が必要となり、昭和54年から白江地区、上小松地区において湛水防除事業を実施している。

 また、昭和61年度より実施している県営かんがい排水事業で軽海用水を全面的に改修し、さらに近年は用水を利用して快適な生活空間を創造する目的で県営水環境整備事業が行われている。この事業では用水沿いの通学路を遊歩道として整備したほか、親水護岸や遊水池の整備が近々完成することとなっており、地域住民の憩いの場となることが期待されている。

(平成11年5月)